« 「遊牧民族」 | トップページ | 遊牧民 エルカ »

2015年8月27日 (木)

寒さで死んだ羊の肉は食べない

  草原の夏はすぐに過ぎて秋も短い。

  秋から冬への移行は早い

 9月を入ると、一気に秋を通り越して冬の様相を

呈してくる。

 さらに、冬から厳冬の酷寒に移行する。

 モンゴルの冬は、-30度になり、想像を絶する

寒さだ。例年、羊たちもかなり寒さで死ぬという。

 その話を聞いて、遊牧民のエルカに訪ねた。

 死んだ羊は、-30度の外に置いておくだけで天然

の冷凍庫に保管するようなもので、毎日、羊の肉

を食べることができていいね! と言った。

 しかし、意外な言葉が帰ってきた。

 遊牧民は「死んだ羊の肉は食べない!」という。

 寒さで死んだ羊の肉は食べても問題ないと思うが

、遊牧民は決して食べないという。

 他の遊牧民からも蔑まされるともいう。

 エルカはその理由を語らなかった。

 何故だろうか?

 最初は一種のプライドかとも思ったが、草原で

プライドなどあるはずもない。

 エルカは狼も、死んだ肉は食べない!

といったことを思い出した時、その理由が

わかったような気がした。

 羊の死因は、寒さかもしれないが、「病気」

に起因する可能性も否定できない。

 そこから、二次感染を防止するという長年の

経験則が守り続けられているからに違いない。

 人間も狼も感染による危険性を事前に回避し

ている。

 

 すくなくとも、「もったいない」などという

概念は草原の遊牧民にはないようだ。

 

  長年にわたって構築された多くの経験の蒸留があるからこそ

-30度の厳冬を乗り越えて生き続けることができるのだろう。

 ”どこに行っても、生きている羊はたくさん

いる。なにも、死んだ羊の肉を食べて危険を冒

すより 生きている肉を食べればいいではない

か” と、狼が囁いているようだ。

|

« 「遊牧民族」 | トップページ | 遊牧民 エルカ »

乗馬(モンゴル編)」カテゴリの記事